モンタキュート・ハウス Montacute House
モンタキュート・ハウスも3度目の訪問となる。ティンティンハルとは直線にしたら3km、車で5分ほどで着いてしまうから、3回ともセットだ。
ここの林の中のパーキングはナショナル・トラスト(NT)にしてはレセプションの近くだ。メンバーズカードを提示し入場。ハウスの西面が嘗ての玄関だ(写真下左から2枚目)。
この華やかなエリザベザン・マンションは16世紀の末にエドワード・フィリップス卿(Sir Edward Phelips)が建てたものだ。無名の建築家の設計だという。
ティンティンハルと同様、地元の石"Ham Hill stone"が用いられている。20世紀までフィリップス家が住んでいたが、1927年にNTの所有となった。
振り向けば遥かかなたにゲートが見える(写真下左)。この"West Drive"は映画"Sense and Sensibility"で有名になったという。
北面のテラスの西端にオランジェリー(Orangery)がある。前2回は巨大なフクシアがあって妻を喜ばせたが、今日はその姿がない。
”生あるものは必ず死あり”ということだ。
テラスの前に展開する広大な"North Garden"はテラスからでは全貌をカメラに収めきれない(写真下右から2枚目)。
このガーデンの名物"Wibbly Wobbly Hedges"はようやく収まった(写真下右)。
”Wobbly Hedges=ぐらぐら生垣”は他に”Melted Hedge=とろける生垣”とも表現されている。私には人の顔というか、モアイ像の顔に見える(写真下左)。
意識的にトピアリングしたものかと思っていたが、1840年代に植えられ真っ直ぐ立っていたものが、1947年の豪雪で倒れてしまい、
手入れをしたのだが、今の形になってしまったもののようだ。NTの熱心な手入れが図らずもこの名物を誕生させたのだ。
このガーデンは1840年代にお住まいのエレン・フィリップス夫人(Mrs Ellen Phelips)と彼女のガーデナーにより夫人がなくなる1911年までに造成されたものだ。
しかし、ノース・ガーデンの噴水はロバート・シェケルトン・バルフォア(Robert Shekelton Balfour)という建築家のデザインで1894年に置かれたものだという。
ハウスの東面が"East Court"だ。ジャコビアン様式だというガゼボや見晴台、それを繋ぐ回り勾欄がなんとも流麗・優美・優雅な姿だ(写真上下右3枚)。
飽きることなく二周りする。過去2回の訪問時はもっとホットなカラースキムだと記憶しているが、意外とおとなしい色合いだ。
このガゼボは"Pudding Houses"と呼ばれる(写真上右)。メインダイニングでのディナーの後、ゲストはデザートをここで楽しんだという。
それほどゲストを惹きつけたガーデンなのだ。私もここでアフターヌーン・ティーを楽しみたいものだ。
イースト・コートの植栽については当初はエレン夫人のデザインが、シシングハースト城のヴィタ・サックビル・ウェス女史が優しい色彩計画で植栽し、
更にその後、ティンティンハル・ガーデンズのフィリス・ライス夫人が力強いホットなデザインに植栽し直したものだとウィキペディア(Wikipedia)に
載っているが、信じられない面々だ。
過去2回はこの辺りで引き上げてしまったが、今日はもう少し足を伸ばすことにする。東のテラスから真っ直ぐ南に伸びる通路もとろける生垣だ(写真上左)。
その突き当たりに半円形の生垣で囲まれたエリアがある。弦の部分は高いイチイの生垣と内側にコラムが並ぶ荘重なデザインだ(写真下左)。
弓の部分の生垣からは面白い刈り込みのトピアリーが頭を出している(写真下左から2枚目)。アンバランスな気がしないでもない。でも、愉快だ。
半円ガーデン(ガーデン・マップに記載がないので勝手に命名)の南が"Quiet Piccnic Area"だ。ようやく雨が上がってきて、どこからか子供たちの姿も現れた。
子供がいて”Quiet=静かな”訳がない。”Quiet=内緒の”と理解しよう。ここには最初に紹介したWest Driveの脇に"Family Picnic Area"というのもあった。
ガーデンの命名にはガーデナーの意思が込められているものだ。この解釈は当たっているかもしれない。
ピクニック・エリアというに相応しく、落雷か何かで枯れた木を彫ったと思われるイスとドングリがある(写真下左2枚)。
ここまでフォーマル尽くめのガーデンの中に手造りの素朴なオーナメントを見つけ心和む。このギャップは効果的だ。
再びイースト・コートに戻り、雄大・優美・優雅な眺めを楽しむ(写真上右2枚)。ノース・ガーデンの噴水はイースト・コートと同じジャコビアン様式だ。
間近で見るとその規模に圧倒される。ようやく青空も覗いてきた(写真下右から2枚目)。
ノース・ガーデンの周りのトピアリーも一つひとつが違った形で見飽きない(写真下右)。スケールの大きなガーデンだ。
ショップを覘く。妻がポストカードを物色している間にお気に入りが見つかる。ラベルに"Wall Arch Sparn"と記されているが、"Sparn"の意味が分からない。
要はガーデニングのアーチの壁飾りだ(写真右)。サイズも感覚で計ると何とかスーツケースに入りそうだ(実測 77cm×49cm)。
価格は£18と極めてリーズナブルだ。これは求めるべし。「箱にいれるか?」と言われたが、スーツケースに入れる積もりだから、
レジの中にあったプチプチシートを指差し「それでラッピングしてくれ」と頼む。いつものことだが、なんとも不器用な包み方だ。(これには後日談がある)
Address | Montacute TA15 6XP |
Telephone | 01935 823289 |
Web Site | Montacute House |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。